「予測」について
こんにちわ!
羽々Jr.の高橋です。
今、私は金子明友先生の『わざの伝承』を読んでいる最中です。
その中で、「予測」つまり「動作の先取り」について書かれており、大変興味深いのでご紹介したいと思います。
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目次
1.「予測」とは「原因」と「結果」ではない
2.運動感覚図式の違い
3.補足
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1.「予測」とは「原因」と「結果」ではない
結論から申し上げると、「予測」とは「未来の不確定のことを今、ここに持ってきて、それが行為の始期になる」ということです。
とても難しいですね(;^ω^)
「原因」と「結果」との違いから考えてみましょう。
例えば、「スイッチを入れたら、電球が点く」です。
図示すると、下記のようになります。
図1
スイッチを入れる前から電球が点くことはありえません。
また、正常な状態であれば、スイッチを入れたら電球が点かないこともありえません。
さて、ドライブの打ち合いを図示してみます。
図2
ここに「予測」の概念を入れてみます。
例えば、「ドライブを打って、前に出て、プッシュで決める」という行為を考えてみます。
図示すると下記のようになります。
図3
「相手がここに打ち返してくる」という予測が、初動に影響を及ぼしています。
未来で起こるかもしれない不確定の相手の行動が、最初の自分の行動に影響を及ぼすのです。
客観的にみると、ドライブを打つ→相手が打ち返す→プッシュを打つ、と時系列に並んでいますが、本人の中では等質的な時間の流れになっていません。
この点で「予測」が「原因」と「結果」と大きく違います。
2.運動感覚図式の違い
さて、図3が出来る方なら理解してくださると思いますが、図2のように「ただ打っている」時と図3の時の自分の「感覚」って違いませんか?
このように「連続技」を志向する時に、1つ目の動作が変わることは良くあります。
例えば、体育館のステージの上から子供達がジャンプする場合、単にジャンプだけさせた時と、着地後に前回り受け身をさせた時では、動作が変わっています。
これは「ジャンプだけしよう」と思った時と「ジャンプの後に前回り受け身をしよう」と思った時に、本人が思い描く運動感覚図式の違いによるものだと考えられます。
つまり、「ジャンプだけしよう」「前回り受け身だけしよう」「ジャンプの後に前回り受け身をしよう」、この3種類は全て違う感覚であり、違う動作であると解すべきだと私は考えています。
「ジャンプだけ」の練習は、「ジャンプの後に前回り受け身」の練習にはなっていないのです。
それどころか「ジャンプだけ」の練習を反復し過ぎてしまって、「ジャンプの後に前回り受け身」の習得が遅れることもあると思います。
この現象をバドミントンで良く見ることが出来ます。
「基礎打ち」です。
「基礎打ちが凄い上手だけど、試合では思ったほど強く無かった・・・」のような話は枚挙にいとまがないと思います。
基礎打ちを図2のようにやっていれば、そのような運動感覚図式を描いて、毎回練習しているので、試合で使えるものになっていない可能性が高いです。
バドミントンは対人スポーツです。読みを当てることが大事です。
指導している対象者が「予測」が働いている運動感覚図式になっているか、共感していくことが重要になっていくと考えています。
3.補足
「予測」が大事、とここまで記述して参りましたが、図2が「成長する上で要らない過程」だったとは思いません。
問題なのは「鋳型化」させてしまうことです。
図2のように「ただ打ち合う」ことも、打ち合えるようになる前までは、自分の運動感覚図式を模索していたはずです。
これは「成長する上で必要な過程だった」と言えます。
しかし、例えば、「フォアハンド(あるいはバックハンド側)でしか基礎打ちをしない」「相手の打ちやすい所でしか基礎打ちをしない」等の練習を目的なく続けて行けば、その運動感覚図式で固定され、次の運動感覚図式を思い描くことが出来なくなります。
次の運動感覚図式に行くためには、今の運動感覚図式の解体/再構築が必要です。
例えば、フォアハンドでしかドライブしてない人はグリップの持ち方を変える、等です。
運動感覚図式を安定させたいけど、安定させてもいけない、という頓智みたいな話になります。
大事なことは、「本人が運動感覚図式と出会った過程」です。言い換えると「コツとの出会いの過程」です。コツと出会える枠組みを持っていると、コツと出会える可能性が高くなると言えます。
終わりに
ちょっとコツの話に脱線しましたが、「予測」における「本人の中の運動感覚図式」の話を今回はしました。
この感覚を持って練習することが、対人スポーツであるバドミントンには非常に重要なことだと思いますので、あらゆる場面で考えてみてください☆
それでは、また☆
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