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指導論まとめ 2023.11月現在 その2

こんにちわ!

羽々Jr.の高橋です。


その1では、1人遊び/2人遊びの重要性を書きました。

次に競技に移っていくための「コ・オーディネーション能力」を上げる方法論を説明したいと思います。


それでは、目次です。


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目次

1.シャトルの加速度を理解させる

2.コートの広さを理解して、シャトルに負けないように動けるようにする

3.インターリーブ理論、ディファレンシャルラーニング

◆終わりに


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1.シャトルの加速度を理解させる

バドミントンを始めたての子がつまずく要因の1つが、シャトルの加速度がわかっていないことです。

シャトルは落下してくる時に「加速しながら」落ちてきます。これがボールのような「球」ではなく、羽+コルクという形であったり、一方向に回転しながら落ちて来たりと、シャトル独特な動きをするので、慣れるまで時間が掛かるわけです。


段階に分けてシャトルに慣れて貰いましょう。


・レベル1 天突き(1人遊び)

天突きと呼ばれたり、シャトルリフティングと呼ばれたりするものです。

弊クラブでは、この方法でシャトルの加速度を理解してもらっています。 (ラケットの長さにも慣れるので一石二鳥です。)


とにかく落とさないように、走り回りながらシャトルリフティングしている

→その場で動かずにシャトルを跳ね上げられるようになる

→跳ね上げている間に床タッチ、1回転、うつ伏せ等が出来るようになる

と段々レベルを上げれるようになります。


特に「シャトルが空中にある間に、目線を切って、何か出来るようになる」というのは非常に重要な運動課題です。



2.コートの広さを理解して、シャトルに負けないように動けるようにする

1と並行してやっていきたいのが、シャトルとの「追いかけっこ」です。

練習者はラケットを持たずにコートに入り、ノッカーが前や後ろに球出し、練習者はそのシャトルを胸の前でキャッチするように頑張りましょう。


良くあるエラーとして、

・リアコート(以下、RC)にシャトルが飛んだ時に、シャトルに追い抜かれてしまって、おへそがネットの方に向かない

・シャトルをキャッチできない

等が起きます。


このような状態の子に、ラケットを持たせてフットワークや素振りで打て、というのは無理があると思います。

シャトルに追い付いていない状態で打とうする等、変な癖がつきます。

高校生や社会人でも多いのですが、ラウンド側を「1,2,3」というようなリズムで打とうとして、ハイロブ等の高い球で時間に余裕があるにも関わらず、球の下に入れない人を良く見かけます。


良く言われることですが、音楽のリズムと運動リズムは違います。音楽のリズムは「自分がリズムに合わせる」、運動リズムは「自分がリズムを作り出す」という大きな違いがあります。


バドミントン的な「コ・オーディネーション能力」が育つ前に、「3歩で行くフットワーク」等を徹底してしまうと、リズムに合わせて動くことしか出来なくなる可能性が高いので、注意が必要です。


フロントコート(以下、FC)でのキャッチでは、

・右足を前でキャッチ

・左足を前でキャッチ

・しゃがんでキャッチ

等の変化をつけると良いと思います。

RCでも

・しゃがんでキャッチ

・しゃがんでからハイジャンプしてキャッチ

等の変化は有効と考えています。


・本人の中で色々な運動リズムが醸成される

・しゃがむ能力やジャンプする能力等、足りない運動能力の確認

が出来るからです。


3.インターリーブ理論、ディファレンシャルラーニング

1人遊びでも2人遊びでも、コートの中のシャトルでの追いかけっこでも、初心者指導で大事なことは、

①1回の練習の中では、「完成度」を求めない事

②少ない反復回数で多くの異なるエクササイズを行う事

③条件に変化をつけて、一定期間続けること

だと考えています。


インターリーブ理論というものがあります。

その理論によれば、「練習から得られた情報は、睡眠中に脳内で整理され定着」します。

しかし、1日に過度な練習量をこなすと脳内で整理できる容量を超えてしまい、脳がオーバーワークの状態になります(=技術が向上しない)。その後、数日間は脳の学習意欲が低下した状態になるそうです。

また、1つの種目を長く練習することも、脳の学習意欲が低下するため効率が悪いそうです。「飽きている」ということですね。


もう1つ、エコロジカル・アプローチというものがあります。

この理論によると、「単一の練習をして脳に『点』を作るよりも、複数の種目を行って『面』を作ることが大事」というようなことが言われています。

そこで、ディファレンシャル・ラーニングと言って、「条件をちょっと変えた練習」を行うことによって練習者の脳に刺激を与え、「面」を作っていくのが有効とされています。


1人遊びにおける「天突きのしゃがむ/1回転」、コートシャトルキャッチFCの「右足/左足/両足しゃがみ」等はディファレンシャル・ラーニングというわけです。


これらの練習方法は例なので、オリジナルでどんどん工夫されたら良いと思います。


◆終わりに

その1で「ネットの無しの打ち合い」から、目から情報キャッチ→行動の能力を鍛えましょう、その2でシャトルの加速度を掴むという話をしました。


良く「運動神経が良い子は羨ましい」という話を聞きます。

私は半分正解、半分間違いだと思っています。

「運動神経が良い」とは、学問的に言うと「即座の習得」が出来る状態にあるということだと私は考えています。

「即座の習得」は「人生で今まで経験してきた運動体験」が元になっています。

「バドミントン的な運動神経が良い子」は、「バドミントンに必要な運動体験を今までしてきた」だけです。

足が非常に速い子でも、棒状の道具を使ったことがない、対人スポーツをしたことがない、等の理由でバドミントンが「(まだ)苦手」な子も居ます。しかし、その子は鬼ごっこでは無敵です。

この足の速さを持つ子が、シャトル、コート、ラケットそして相手を自在にコ・オーディネーション出来る様になった時に、競技バドミントンが楽しくてしょうがない未来が待っていると思います。


ムリなくそのような状態になるように、指導者や保護者は何が必要か考え、実践していきたいところですね。


その3に続きます!


それでは、また☆




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