指導論まとめ 2023.11月現在 その7
こんにちわ!
羽々Jr.の高橋です。
「その6」では、「目的」=「相手にさせたいこと」を達成するために、「バドミントンのコ・オーディネーション能力」を上げよう、そのためには「その1」で示したような既存の指導体系から「バドミントンの歴史に学んだ指導体系」にしよう、というお話でした。
その7は「攻撃原則」についてです。
「攻撃原則」という言葉、皆さん聞いたことがございますか?
それでは、目次です。
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目次
1.攻撃原則とは何か?
2.攻撃原則の例
3.競技バドミントンとは、どんなスポーツか?
◆終わりに
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1.攻撃原則とは何か?
『ウィニング・バドミントン シングルス』ジェーク・ダウニィ著によると、「攻撃原則」とは、「常にスコアリング・ブローをなすことのできるシチュエーション(状況)を作り出すようにトライ」することです。(P13)
つまり、言葉を選ばずに言えば、「常に相手を『やばい』と思わせて、ビビらせるようにトライすること」だと思います。
対人で「得点」する方向性は、主に2つだと思います。
・「相手にヤバいと思わせて、動きを限定すること」
・「相手にヤバくないと思わせて、動きを限定すること」
武術系の動画を観ると後者の技術も比重が大きいように思いますが、武術の場合、「一撃で終わる」可能性があるため、比重が大きいように思います。
バドミントンのように「得点を重ねる」競技では、前者の比重が大きいのではないでしょうか?
例えば、所謂「フェイント」(ディセプション)に「何回も引っかかる」タイプと「1回引っかかったら、警戒してればかからない」タイプがあります。
私は中学の時にバスケ部だったのですが、「トリプルスレット(3つの脅威)」というボールキャッチポジションを習いました。「シュート」「ドリブル」「パス」全てに繋がるようなボールキャッチをしましょう、ということですね。そして、「必ずゴールを目指す」ことによって「相手にヤバい」と思わせて、行動を限定していく、ということです。
2.アタッキングスタンスとディフェンシブスタンス
「攻撃原則」に非常に関連深いのがスタンス(足の開き方)です。大きく分けて、アタッキングスタンスとディフェンシブスタンスの2種類があります。
簡単に言えば、「縦」と「横」です。
ディフェンシブスタンスとは、次の動画の山口選手の対戦相手であるZHANG選手がサービスを打った後に取るスタンスのことです。
アタッキングスタンスとは、次の動画でChou選手がスマッシュレシーブの後に取るスタンスのことを言います。
簡単に言えば、ディフェンシブスタンスは「どの方向にも動きやすいが、どの方向にも動きづらい」、アタッキングスタンスは「縦方向に動きやすい」です。
理由は人間の身体の構造にありますが、内容の本筋と外れるので上記の理解程度で大丈夫です。
3.競技バドミントンとは、どんなスポーツか?
改めて、競技バドミントンとは、どんなスポーツなのでしょうか?
『バドミントンプレーヤーの戦術的技能(予測段階)に関する一考察』吹田真士、磯下由貴子、木塚朝博という論文があります。
それによると、「競技力の高いプレーヤーは競技力の低いプレーヤーに比べて、判断が速く、予測することに積極的であり、当たる数も多いが誤答も多い(予測の回数が多いため)」のようです。
つまり、バドミントンは「間違えないようにする」というよりは「当てに行く」スポーツであるということが示唆されています。
JSPORTSの解説でTAGOKENさんの解説が話題になっていますが、1回目の解説の時の西本選手の試合だったか「今のは、いってほしいですね」的なことを何回か仰っていました。
いずれもフォア奥かバック奥での態勢が十分でなく、相手からの強打が来ない場面でのことでした。フロントコート(以下FC)、あるいはリアコート(以下RC)への繋ぎ玉へ積極的に「読み」を当てに行け、という解説だったと思います。
さて、ここで思い出してほしい事がございます。
それはコートの大きさです。
皆さんはバドミントンコートは縦と横、どちらが長いか、ご存じでしょうか?
答えは「縦」です。
サイドラインまで入れた長さの図になっています。(間違っていたらすいません。)
「横」は手やラケットの長さも使え、ポジショニングによっても潰しやすいです。
そうしたことを活用しながら、「縦」のスタンスを取ると相手にかなり圧力が掛かります。
「アタッキング」スタンスと言われる理由がわかりますよね・・・
バスケの「トリプルスレット」のように、事あるごとに、失敗しても良いから、「アタッキングスタンス」を取ることによって、相手に脅威を与えることが可能です。 (もちろん、そうじゃない場合もありますが・・・)
ぜひ、参考にされてみてください。
◆終わりに
「攻撃原則」や「アタッキングスタンス」のことを学ぶと、盲目的に「シャドーのフットワークで、所謂ホームポジションで足を横に開かせることを繰り返す」練習が如何に問題があるかに気付けると思います。
勿論動画のZHANG選手のように「スペースを空けて誘い、そこに打たせる」のような戦術はありますが、それでも「攻撃原則」との使い分けにより、より効果を増す戦術と言えますので、「盲目的に繰り返す」ことは指導上、止めていきたいですよね。
そういうわけで、「ホームポジション」ではなく、「プレイングセンター」という言葉が使われるようになっているのだと思いますが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。
それでは、また☆
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