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素振りについて

こんにちわ!

羽々Jr.の高橋です。


今回は「素振り」について、考えていることを整理するために筆を取りました。


それでは目次です。


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1.アクションフレーズから考える「素振り」の問題点

2.「型」としての「素振り」や「フットワーク」

3.運動共感の道具としての「型」

4.終わりに

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1.アクションフレーズから考える素振りの問題点


アクションフレーズ(以下、「運動局面」)という言葉があります。

詳しくは過去記事をご覧ください。


「運動局面」の観点から「素振り」を考えると、以下3つの問題が挙げられます。


①「素振り」の運動局面には「見る」がない

バドミントンは対人スポーツです。

従って、「相手が何をするかによって、自分の行動を決める」スポーツと言えます。

このように考えた時に、「素振り」には相手の情報を得ようとする練習は含まれていません。


②「素振り」では打点は自分で決められる

バドミントンは対人スポーツです。

従って、「相手は自分に取って、嫌なことをしてくる」スポーツと言えます。

「自分の打ちやすい打点」で「自分のタイミング」で打てる「素振り」をしているのであれば、工夫が必要です。

「自分で、ここで振ろう」と思っている事と、「シャトルがこの位置だから、自分で、ここで振ろう」思っている事は、全く違うと私は思っています。

(自分の動作とは自分が決めているのか?外からの作用で自分が決めているのか?みたいな、お話です。)


このような問題もあり、公認指導者資格では、「プレーヤーの成長は、バドミントンの歴史に似る」(筆者意訳、過去記事参照)ということを重視して講義があるのだと思います。


2.「型」としての「素振り」や「フットワーク」

1で「素振り」が、さも悪いように論じてきました。

でも、ぶっちゃけますと、低学年から結果を出す子というのは「素振り」や「フットワーク」をめちゃめちゃしていると思います。


「素振り」をしている子が全員結果が出ているわけではないが、結果が出ている子は「素振り」をしている。

それがなぜか、というのを整理してみます。


①道具の扱い方を学習する。

②バドミントン用のエネルギー系体力を醸成する。

③競技用に専門的コオーディネーションしていく。


ある目的を達成するための運動を「行為」というそうです。

「行為」と「個々の関節や筋肉などの運動」をつなぐ運動を「動作」というそうです。


競技バドミントンにおける「行為」では、まずラケットが必要です。

ラケットをどのように扱うか、を学ぶ必要があります。


続いて、競技バドミントンではどうしても「シャトルを飛ばす」必要があります。ロングサーブやハイクリア等です。そのため、エネルギー系体力が必要です。


そして、最後に専門的なコオーディネーションです。1で論じたようなことですね。自分のアクションフレーズと相手のアクションフレーズを合わせたり、介入したりしていくことが必要になってきます。


例えば、ウチのクラブにソフトボールをガッツリやっている子が体験に来たことがあります。

回旋系や投動作のエネルギー系体力が十分な子達です。

(この辺り、自分で使っていて怪しい表現です・・・)


しかし、オーバハンドストロークでシャトルを打てなかったり、アンダーハンドストロークでもラケットの面が分からずシャトルに当てることが出来ませんでした。 (1人だけ初めからラケットが使える素晴らしい子が居ました。)


また、筆者の息子は野球をやっていますが、昨年は「グローブを開く/閉じる」と言った体力がなく、野球になっていませんでした。当時、両手でボールを捕球することは出来ていました。


下の図からわかる通り、スポーツ技能には基礎的な運動能力や基礎的な運動要因が必要なので、それを鍛えるために「素振り」が活用されてきたのだと考えます。



しかし、一方で、例えば、

・「肘を引くタイプの素振り」をしてきた子にボールを投げさせた場合、その「型」で投げ、上手く投げれない子

・シャトルを追い抜く能力がなかったり、シャトルの落下速度が分からず、ロボットのような感じでコオーディネーションされてしまった子

等を見たことがあります。

前者はソフトボールの子たちと同様、その「競技」しか出来ない子。

後者は「型」の稽古のみしてしまい、他の運動能力が育っていなかったり、1-③のように「自分の動作の起点」を間違って覚えてしまった子。

と考えます。 他にも

・試合前、アップでフットワークをスムーズにしているが、試合になったら全く打てない子

も見たことがあります。


このように、「型」は有用だが、間違った「型」であったり「型」の使い方を間違えたりすると大変なことになる、というのが今の所の結論です。


「毎日素振りしてます」「毎日フットワークしてます」「でも勝てません」というようなことをSNSで、たまに見かけます。

ここまでの話が、練習方法の見直しのヒントになれば幸いです。


3.運動共感の道具としての「型」

この章は別の視点で「素振り」を考察したいと思います。


今、筆者は『わざの伝承』金子 朋友著を読んでいます。

その中で、「わざを教える人と教わる人の間に回路が必要」「教える人は教わる人の運動に共感し、促発しなければならない」のような意味の言葉が出てきます。


この回路を作るのに「型」が非常に役立つなぁ、と最近思っている次第です。


オーバーヘッドの「素振り」だと難しすぎるので、体操のような「型」から試していきます。


例えば、ラジオ体操の1種目にゆらゆら身体を動かす種目があります。

それをしていると、子供達の

・運動筋肉感覚分化能力

・リズム化能力

が見えてくるような感じがします。


遊ばせていても運動量や質が低い子に、特に有効な気がしています。


運動類縁性という言葉があります。

例えば、バドミントンのオーバーハンドストロークと投球は運動類縁性があります。

2で記述した通り、いきなり「専門技術」の型から入ると、違う「専門技術」に応用が利かない場合があると考えています。

そのため「素振り」ではなく、「体操」から入ることに最近はしております。


また、「ボール投げ」を多くクラブで取り入れているのですが、自由にやらせていて上手くいく場合もありますが、非効率的な投げ方で定着しつつある子も現れています。


「型」のようなものを作り込んでいくと、教わる方/教える方、お互いに共感能力が発揮され、修正がしやすいように思います。


一例ですが、「型」を使用して、共感能力を上げている動画です。 (武術の動画に多い気がしています。)


4.終わりに

「ハビトゥスの伝承」という言葉があります。

その社会・文化的に良いとされる動作が「ハビトゥス」です。

この「ハビトゥス」が良かったり悪かったりします。


例えば、「和式のトイレが無くなった」「公園で砂遊びをしなくなった」「道路でなんか白い石でお絵描きしなくなった」「椅子文化になって、足が浮くような感じで食事することが増えた(立ったり座ったりの動作が減った)」等の理由により、「しゃがむ」ことが苦手な子供が減りました。

また、「軍隊のような教育」ということで、「行進」の授業がなくなったり、「姿勢」についてとやかく言われたりすることが減りました。


「スポーツは楽しむもの」と最近、声高に言われます。

筆者もそう思います。


しかし、一方で、「体育は生涯スポーツの予備校なのか?」という批判が出るくらい、「体育が体育で無くなっている」という話も聞きます。

スポーツはスポーツであって、「体育」ではありません。例えば、「オーバーユースで疲労骨折した」「片側しか使わないから、偏った」という話はバドミントンで良く聞きます。さらに「楽しむ」だけなら、身体の使い方等は全く変わらず、傷害が起きやすいフォームが定着する可能性もあります。


またコロナ禍の自粛生活で「部屋にこもりっぱなし」だったのか、子供の体力が落ちているというデータもあります。


その中で、

「週1回、ウチのクラブに来ている子に何をしてあげられるのか?」

「中学にバド部が無い、指導者の数が足りない等の福岡県大牟田市の環境の中で、バドを選んでもらった場合にしてあげられることは何なのか?」


鍛えること/自由に楽しむこと、一般的基礎体力/専門技術への準備・・・そのバランス。


模索の日々が続きますが、頑張って参りたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


それでは、また☆

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